気になる木
木に葉のないこの時期は、異変に気づきやすい時期でもあります。
冬から行っている剪定作業では、木に1本ずつ手を入れていきますが、
樹勢(=前年の枝の伸び方)の強い、弱いに加え、病気や虫の害にも気を配っています。
なかでも、見つけやすく、かつ影響が大きいのが、腐らん(ふらん)病です。
木の幹、枝ともに、この病気にかかってしまうことがあり、
木の皮ふがブツブツしたり、しわが寄ったり、赤褐色になるのが特徴です。
放っておくと、形成層(けいせいそう)と呼ばれる、水分や養分の通り道がだめになってしまい、
枝全体や、ひどいときは木全体が枯れて死んでしまいます。
見つけ次第、病気にかかった部分を切ったり、ナイフで削って、薬を塗ってやります。
暖かくなると、木がカルス(=細胞のかたまり)をつくって、傷口を自分で治癒していきます。
このあたりに、木の生命力を感じます。
写真の木は、2年前に腐らん病を発見し、かなり広く皮ふを削りました。
白い部分は木の骨格部分(木質部)で、残った2分の1の皮ふで、水分と栄養をやりくりしています。
病気の再発を防ぐために、残った皮膚のきわに、毎年薬を塗っています。
腐らん病は、患部から胞子を発生させ、他の木にも感染を拡げようとするやっかいな病気です。
木を見て、しっかり処置してあげるのは、病気との根競べだなと思います。
りんごの木は、新しい枝を伸ばすことで、活路を見出そうともします。
皮ふを削った下の部分から、新芽が出て、枝に成長しました。
今年は、この枝に、新しい品種を接いでやる(=枝と枝をくっつける)予定です。
同じ台木での、りんごの木のバトンリレー、ですね。
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