上を向いて育とう

りんごが開花して、落花するまで、花の命は約10日間。

そのうち、最初の5日間で、受粉するか(実にとまるか)が決まると言われています。

開花から約2週間が経ったいま、りんごの実はこんな感じです。

りんごと言えば、赤く、丸い実が木からぶら下がっているイメージですが、

育ち始めたばかりのこの時期は、ぷっくりと、上を向いています。

1ヶ所に5つの花が咲いて、実がつくのですが、真ん中の実が回りよりも大きく、元気な実になるのが理想です。

花のときに、中心の花がしっかりと強く咲いていると、よい実がつきやすいです。

これに対して、木が弱かったり(剪定の結果でもあります)、霜の影響を受けてしまうと、

中心の花がまわりの花より小さくなり、実がつかなかったり、小さい実になったりします。

中心の花を、しっかりとした実にとめるために、授粉作業をしたり、ハチの力を借りるのですが、

特にふじは中心の実がとまりずらく、なかなかビシッと決まりません。

早くも、来年はもっとこうしよう、ということを考えています(笑)。


ここから6月下旬までは、摘果(てきか)と呼ばれる、よい実を選んで他の実をとる作業を行います。

青森県では、選ぶ=すぐる、という言葉から、「実すぐり」と呼ばれているそうです。

写真だと少し分かりにくいですが、このような感じで、よい実をのこしていきます。

上を向いた、ぷくっとふくらんだ実がのこっていくイメージです。

1本の木に何百と花が咲くので、けっこう大変な作業ですが、集中してやると無心になれます(笑)。

ちなみに、この摘果作業の前に、花摘み(摘花)作業を行っています。

実をならせるべきでない場所の花は、つぼみの段階で、摘んでしまうのです。

なかなか、すべての木は見れないのですが、花摘みをすることで、この時期に伸び出す新しい枝が充実するようです。

1本の木から100個のりんごを採る場合、単純計算で、約2,500個の花(小さな実)からよい実を選んでいることになります。

「実すぐり」という言葉のとおり、丁寧さと根気のいる仕事です。

いまの時期、りんごは、1日1ミリの大きさで育つそうです。

収穫までの道のりはだいぶ先ですが、秋には、選りすぐりのりんごをお届けしたいと思います。

やなぎさわりんご農園

北信州の自然の恵み