シナノリップ 収穫中です

お盆の8月13日から、シナノリップの収穫・出荷をはじめています。


シナノリップは長野県で生まれ、2018年に品種登録されたばかりのりんごです。

当農園では、2016年に苗木を植え(当時は長果25という名前でした)、2019年から少しずつ出荷できるようになりました。

この時期のりんごにしては、果肉がしっかりして、果汁もたくさんあります。

かじってみると、ほどよい酸味が口の中に広がり、夏らしいりんごだと感じます。

今年は、7月の長雨・日照不足のためか、あかつき(桃)が熟すのが前倒しになっていました。

シナノリップも同様で、当初はお盆明けの収穫を見込んでいたところ、収穫時期を迎えた果実が予想外に多く、急いで収穫をはじめました。

シナノリップの特徴として、「お尻の色で収穫を判断」「収穫のタイミングにバラつき」があります。

収穫適期(適熟)が近づくと、実の色がくすんだ赤色から、鮮やかな紅色に変わります。

ただし、外見だけで収穫するのはまだ早く、りんごのお尻を見て、緑(青)の地色が黄色に変わり、かつ、黄色の中に緑(青)が少し残っている状態がベストです。

お尻が青いうちは、まだ酸味が強すぎ、かといって、お尻全体が黄色になってしまうと、過熟気味となり歯ごたえがわるくなります。


また、木によって、枝によって、さらに実によって収穫適期に差があります。

これは、花がだらだらと長く咲く(ふじより前に開花し、ふじのあとにも開花する)ことに由来するようです。

1番上の写真でも、奥の方にある実には、まだ全然色が入っていないのが分かると思います。

このため、収穫の際は、鮮やかな紅色になった実を見つけて、さらにお尻を見て判断、という2ステップになります。

基本的に、朝・夕の涼しい時間帯で収穫を行うのですが、限られた時間でやるにはちょっと手間がかかります。

また、この時期のりんごの宿命ですが、「日焼け」がどうしても出てしまいます。

連日の猛暑で、果実の表面温度が高くなり過ぎて、茶色く焼けてしまうのです。

こうなると、商品価値はなくなってしまい、寂しいですが加工用での出荷となります。

さらに、8月に熟すりんごが他に少ないため、鳥や虫から狙われやすいのがシナノリップでもあります。

しかし、いち生産者として、私はこのシナノリップがとても好きです。

シーズンはじめのりんごということも、自分で1から植えた苗木ということもありますが、収穫の手間をやりがいと感じられるりんごです。

手間のかかる子供ほどかわいい、というのと同じでしょうか(笑)。


今年は、5月の花摘みで、昨年までとは違う工夫をしてみました。

また、今年の収穫を経て、どういう枝に成らせるのがよいか見えてきた気がします。

自信をもったシナノリップを安定して出荷できるように、1歩1歩、前進したいものです。

やなぎさわりんご農園

北信州の自然の恵み